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成長因子(グロースファクター)の効果や副作用、種類と治療についてご紹介します。

成長因子とは

成長因子(グロースファクター)とは

『成長因子=Growth Factor』

グロースファクターや頭文字をとって「GF」とも呼ばれる、"タンパク質の総称"です。

成長因子には、新しい細胞が増えるのをサポートするはたらきがあります。

また新しい血管を増やしたり、コラーゲンを作るはたらきなども。

そのためAGAFAGAで成長がストップしている毛包(毛を作る器官)に成長因子を注入すると…

  • 毛母細胞(髪の原料)が活発にはたらき髪が成長する
  • 頭皮への血流が良くなる
  • 太さやハリといった髪質の変化 etc…

薄毛改善や丈夫な髪へと変化するなど、さまざまな効果が期待できると考えられています。

髪に良いとされる成長因子

成長因子の種類はさまざまあります。

その中でも髪に良いとされる代表的な成長因子は、次のようなものです。

名称と髪に対するはたらき
KGF 毛母細胞を直接刺激し発毛環境を整える
IGF−1 毛母細胞を増やす
HGF 毛包や毛髪を強くする
VGEF 新しく血管をつくる血管新生のはたらきがある

※毛包:髪をつくる器官

※毛母細胞:髪の原料となる細胞

成長因子導入について

成長因子(グロースファクター)導入について

プロペシアミノキシジルといった薄毛の基本治療に加え行う、成長因子導入。

ほとんどのAGAクリニックで取り扱いがあり、もともとシミやシワ、たるみなど肌の悩みを改善する美容皮膚科で行われていた治療方法です。

成長因子を頭皮に注入することで細胞の"活性化"と"再生能力"をUPさせ、髪の毛の成長をふたたび促すことが期待されています。

男女に関わらず受けられる注目の薄毛治療ですが、まずは次の2つのことは知っておくべきです。

  • 含まれる成長因子の種類
  • 日本皮膚科学会の評価

一口に成長因子といっても、その種類はさまざま。

中には髪の毛に良くないものもあり、どこのメーカーの成長因子を使っているかはとても重要です。

また日本皮膚科学会は成長因子導入は先進医療の段階にあり、まだ行わない方がよいとAGAガイドラインで評価(下から2つ目の『C2』)しています。

つい"最新"・"最先端"・"毛髪再生"などの言葉に目がいきがちですが、成長因子導入を薄毛治療に取り入れるかは自己判断を求められます。

以下にAGAクリニックにおける成長因子の導入方法や、どんなリスクを伴うのかなどを解説していきます。

成長因子を使った治療方法

成長因子(グロースファクター)を使った治療方法

メソ、メソセラピー、ノーニードル、カクテル…など、成長因子を用いた治療方法はAGAクリニックごとにさまざまな呼び名がついています。

しかも呼び名が違うだけなら良いんですが、使用している製剤もさまざま。

含まれる成長因子の種類や数も異なるため、どこの成長因子を使っているかはクリニックで必ず説明を受けるようにしましょう。

成長因子製剤の種類

現在、国内で確認できている成長因子製剤は4つ。

製品名と成長因子の種類・由来
HARG(AAPE) 150種類以上
ヒトの脂肪由来
BENEV 10種類
ヒトの皮膚由来(包皮)
サイトプロMDヘア 8種類
ヒト骨髄幹細胞由来
mesoline HAIR 3種類
不明

多くのAGAクリニックが、この4つのいずれかを使用しています。

製剤によって含まれる成長因子の種類も、人のどこから取れたものかも異なります。

また誤解してはいけないのが、含まれる成長因子の数についてです。

"成長因子の種類の多さ=効果が高い"ということではありません。

成長因子にはヘアサイクルの成長期を退行期へと移行を促す『TGF-β1』や『TGF-β2』など、髪にとってマイナスにはたらくものが含まれていることがあるためです。

AGAクリニックによっては、これらの製剤に以下の医薬品成分を組み合わせて使用することもあります。

  • ミノキシジルやフィナステリド
  • アドナ(血管を丈夫にする)
  • ラエンネック(プラセンタ)
  • タンパク質(アミノ酸)
  • 各種ビタミン etc…

医薬品成分を組み合わせる場合、"カクテル"と呼ばれることが多いようです。

治療費もプラスでかかるので、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

タンパク質と髪について
ビタミンと髪について

成長因子の注入方法

成長因子(グロースファクター)の注入方法

髪の毛が薄くなっている部分に成長因子を注入する場合、いくつかの注入方法があります。

注入方法と内容
注射 注射によって直接注入
スキンスタンプ 140本の極細針がついたスタンプ型の注射器で注入
エレクトロポレーション 針を使わず、電気の力で毛穴を広げ注入
MEDJET 炭酸ガスの噴射圧力で、頭皮に成長因子を散布

針を使った注入方法はダイレクトに毛包に成長因子を送り届けることができるため、期待できる効果も高いと言われています。

ただ人によっては、痛みを感じるのが難点です。

また針を使わない場合、分子量が大きい成長因子が正常な頭皮の表面を通過できるかは正直わかっていません。

成長因子導入は発展途中の薄毛治療であるため、こうしたメリット・デメリットを把握した上で治療するかを検討するべきです。

成長因子に副作用はあるのか

成長因子(グロースファクター)の副作用

成長因子は薬剤ではないため、副作用はないと言われています。

ただしミノキシジルやフィナステリドを組み合わせた場合には、薬剤による副作用が出ることがあります。

ミノキシジルの副作用
プロペシアの副作用

また針で注入すると、施術後に注入箇所に炎症や腫れなどの症状が見られることがあります。

長期治療のリスクは未知

長期的に成長因子導入を行なった場合の安全性に関するデータはありません。

懸念されるリスクとして考えられるのが、"発ガン性"です。

成長因子は細胞の増殖を促すため、ガン細胞のはたらきを活発にしてしまう可能性があります。

また乾癬(かんせん)やケロイドといった皮膚の病気の原因は、成長因子が関係しているという研究報告もあります。

副作用がないからといって、長期的に成長因子を頭皮に注入することがプラスにはたらくのかは未知となっています。

成長因子導入は今やるべきか

成長因子(グロースファクター)導入は今やるべきか

ふたたび髪の毛が成長する期待感は大きいものの成長因子導入は先進医療の段階であることは間違いなく、未知な部分も多々あります。

またAGAクリニックにある症例写真はAGA治療薬との併用例ばかりで「お薬だけでも生えるのでは?」という疑問も残ります。

そのため今の段階では日本皮膚科学会のAGAガイドラインの評価通り、『C2:やるべきではない』というのが妥当かもしれません。

ただあくまでも薄毛治療は、自由診療。

今の再生医療技術にかけてみるのも1つですし、今後の毛髪再生医療技術の進歩を待つのも1つです。

すでに成長因子導入の治療を受けている人も含め、今一度検討してみてください。

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