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円形脱毛症の原因や特徴、治療方法をご紹介します。

円形脱毛症とは

円形脱毛症とは

円形脱毛症は毛根の炎症により、だ円形や円形の脱毛が突然現れる自己免疫疾患です。

「10円ハゲ」とも呼ばれることから、硬貨サイズの脱毛が1つできると思われがちです。

しかし悪化すると複数箇所に脱毛が見られたり、頭部全体や体毛にまで及ぶこともあります。

円形脱毛症は精神的な負担も大きく、ふさぎ込んでしまうことも。

まずは皮膚科に相談し、最善の治療を受けることをお勧めします。

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因

円形脱毛症の原因は、自己免疫疾患とされています。

またストレスやアトピー、遺伝などが、円形脱毛症を誘因するのではないかと考えられています。

自己免疫疾患

自己免疫疾患はウィルスや細菌から守る機能に異常が起こり、自分のからだを攻撃してしまう病気です。

円形脱毛症ではリンパ球(白血球の1つ)が毛根を外敵とみなし攻撃することで炎症が起き、脱毛を起こします。

そのため毛根は傷み、健康な髪でさえ突然抜け落ちるようになります。

ただなぜ免疫に異常が起こるのかは、明らかにはなっていません。

また円形脱毛症は、その他の自己免疫疾患と合併することが知られています。

  • 甲状腺疾患
  • 尋常性白斑
  • SLE
  • 関節リウマチ
  • 1型糖尿病
  • 重症筋無力症 etc…

なかでも甲状腺疾患は8%、尋常性白斑は4%の合併率があるとされます。

ストレス

かつては円形脱毛症は、精神的なストレスが原因と考えられていました。

実際に何かしらのストレスをきっかけに円形脱毛症がはじまる方もいます。

ただ生まれたばかりの子どもでも円形脱毛症になることから、ストレスが直接の原因になるという科学的な根拠は乏しいとされます。

そのため現在では、ストレスが何かしらの形で自己免疫機能に異常をきたすと考えられています。

遺伝

最新の中国による大規模調査では、円形脱毛症患者の8.4%に円形脱毛症を抱えている家族がいることが報告されています。

また患者さんとの関係が近いほど発症率は高まることが、欧米の調査でもわかっています。

父母や子ども(一親等内)での発症率は、一般の10倍にもなると言われています。

アトピー性疾患

円形脱毛症患者さんの40%以上が、アトピー性疾患(アトピー性皮膚炎・気管支喘息・軽度のアレルギー性鼻炎)をもっているとの報告があります。

国内の円形脱毛症患者さん200例
本人または家族に
アトピー素因がある
108例(54%)
本人のみ 82例(41%)

このことから、円形脱毛症とアトピー性疾患には関係があると考えられています。

円形脱毛症の特徴

円形脱毛症の特徴

円形脱毛症は、毛根や脱毛パターンに下記のような特徴があります。

発症率

円形脱毛症の発症率は、男女にほとんど差がありません。

年代で見てみると次のようになります。

30歳以下での発症率 全体の80%

この中でも、15歳以下で発症する割合は全体の1/4を占めます。

このことから円形脱毛症は、若い世代に多くみられる特徴があります。

細く尖った毛根

正常な毛根は、ボールのような丸い形をしています。

ですが、円形脱毛症の方は毛根が細くとがったものになっています。

これは毛根がリンパ球の攻撃により傷んだために、毛根の形が変化します。

脱毛パターン

10円ハゲのイメージが強いですが、円形脱毛症は脱毛パターンが複数あります。

また重症化してくると、頭皮以外の体毛も抜け落ちるようになります。

タイプと脱毛の仕方
単発型 頭髪に円形または楕円形の脱毛斑が1つできる
多発型 円形脱毛斑が複数できる
蛇行型 生え際が帯状に脱毛する
全頭型 脱毛斑が頭部全体に広がる
汎発型 頭髪だけでなく眉毛、まつ毛、体毛など全身の毛が脱毛する

これら脱毛パターンの中でもっとも症状が軽いのが『単発型』です。

1年以内に約80%の人が自然治癒しているというデータもあります。

まずは円形脱毛症かなと思ったら、悪化させないためにも皮膚科に受診することをお勧めします。

易脱毛性

易脱毛性とは、髪の毛が抜けやすいことを言います。

円形脱毛症は、脱毛斑周囲の毛髪を手で引っ張ると簡単に抜けてしまいます。

さらに痛みもほとんどありません。

気になるからといって脱毛周囲を触ると、髪が抜け落ちやすいので注意が必要です。

爪の変化

円形脱毛症は、髪だけでなく爪(ツメ)にも変化が見られます。

髪と爪の構造が似ているため、リンパ球の攻撃により爪が変形すると考えられています。

・爪デコボコする、はがれやすくなる

・横筋が入る

・白く濁る

これらの症状は、患者さんの1/4ほどに見られます。

AGAやFAGAとの違い

男性に多いAGA(男性型脱毛症)、女性に多いFAGA(女性型脱毛症)、これらの薄毛症状と円形脱毛症の違いは次のようになります。

円形脱毛症 AGA FAGA
髪質 感嘆符毛
切れ毛
黒点
軟毛化
原因 自己免疫疾患 男性ホルモン ホルモンバランス
加齢
脱毛
スピード
急激に抜ける ゆるやかに進行
脱毛
パターン
部分的
頭髪全体
体毛
頭頂部
生え際
全体的

※感嘆符毛:「!」のような形の毛になり、毛根部分に近くなるほど細くなっていく

※黒点:根元から毛が折れ、毛穴に埋まっている毛

円形脱毛症の治療方法

円形脱毛症の治療方法

円形脱毛症の治療は、脱毛スピードや広がり方によって1人ひとりの治療が異なります。

最善の治療をするためにも、医師の判断のもと治療を受けるようにしてください。

ステロイド

ステロイドには3つのタイプがあります。

・外用

・局所注射 (※小児には基本的には行わない)

・内服 (※全頭型や体毛を失っている場合のみ)

炎症を抑えたり、からだの免疫力を抑える作用があります。

ただ副作用も多いので、治療には注意が必要です。

局所免疫療法

局所免疫療法は、人工的に頭皮の表面に"かぶれ"を起こす治療です。

リンパ球のターゲットを『毛根 → かぶれ』に変えることで、発毛を促す効果が期待できます。

メリット 難治性のケースでも効果がある
年齢問わず受けることができる
デメリット 保険適用外
治療期間6ヶ月〜1年以上
ステロイドとの併用はできない

かつら

かつら自体に発毛効果はありません。

ただ紫外線や頭を守るなどには、有効とされています。

またかつらの着用により、生活の質(QOL)も向上したとの報告があります。

円形脱毛症は精神面への影響もあることから、かつらの着用は1つの選択肢となります。

円形脱毛症との向き合い方

円形脱毛症との向き合い方

円形脱毛症は症状が軽い場合、治療せずとも自然治癒するケースがあります。

その一方で、治療してもなかなか治らず長期化してしまうケースも。

脱毛が長く続いても、髪の細胞は残っていることから治療の効果があれば髪は戻っていきます。

最善の治療を受けるためにも、「円形脱毛症かも…?」と思ったら皮膚科にご相談ください。

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